MultiNAを使った電気泳動
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== (1) 装置の起動 == | == (1) 装置の起動 == | ||
# 本体の電源を入れる。 | # 本体の電源を入れる。 | ||
# 制御用コンピュータを起動する。MultiNAユーザーでログインして、MultiNA装置制御を起動する。 | # 制御用コンピュータを起動する。MultiNAユーザーでログインして、MultiNA装置制御を起動する。 | ||
− | # | + | # 制御ソフトの左上の「MultiNA」の文字が緑色になっていればOK。 |
+ | :*オレンジのときは本体と通信できていないのでメニューの「装置」-「接続」を実行する。 | ||
* 洗浄水の量を確認する。足りないときはElix水を補充する。 | * 洗浄水の量を確認する。足りないときはElix水を補充する。 | ||
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*解析するDNA断片の長さに合わせて、「DNA-500(水色)」「DNA-2500(紫)」「DNA-12000(ピンク)」のうち適切なキットを選ぶ。 | *解析するDNA断片の長さに合わせて、「DNA-500(水色)」「DNA-2500(紫)」「DNA-12000(ピンク)」のうち適切なキットを選ぶ。 | ||
以下は、500bp以下のDNA断片を解析する際の「DNA-500(水色)」についての説明。 | 以下は、500bp以下のDNA断片を解析する際の「DNA-500(水色)」についての説明。 | ||
− | ::* ストック溶液の作製方法、「DNA-2500(紫)」「DNA- | + | ::* ストック溶液の作製方法、「DNA-2500(紫)」「DNA-12000(ピンク)」の対応試薬は、末尾の「補足」を参照) |
− | * | + | *ラダー:pUC19/MspI(HpaII) ※調整済みの希釈液を使う(-20℃で保存) |
− | * | + | *希釈色素液 SYBR Gold (-20℃で保存) |
− | * | + | *DNA マーカー溶液 :DNA-500用(水色)を使用(-20℃で保存) |
− | * | + | *DNA 分離バッファ :DNA-500用(水色)を使用 (4℃で保存) |
== (4) 測定 == | == (4) 測定 == | ||
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:2. 分離バッファーとマーカーの必要量が表示されるので、調製して設置する。 | :2. 分離バッファーとマーカーの必要量が表示されるので、調製して設置する。 | ||
− | === | + | ====(試薬の調整方法)==== |
::*MultiNA装置の下の引き出しにある、試薬調製用のチューブを使う | ::*MultiNA装置の下の引き出しにある、試薬調製用のチューブを使う | ||
+ | *ラダー=pUC19/MspI(HpaII) : ラダー用チューブ(200ulチューブ)に、 '''12µl''' 分注する | ||
+ | *DNA マーカー溶液 :マーカー用0.5mlチューブに、 '''表示された量+10µl''' 分注する | ||
+ | *DNA 分離バッファ :DNA分離バッファには、希釈色素液を100分の1量添加する | ||
+ | ::(1)分離バッファ用チューブに、「希釈色素液」を DNA分離バッファの '''表示量の100分の1''' 入れる | ||
+ | ::(2)そこへ、DNA分離バッファを '''表示量+100µl''' 入れる。(粘性が高いので注意!) | ||
+ | ::(3)チューブの蓋をして、ボルテックスで懸濁する。(泡ができたら、ピペットマンのチップで突いて消す) | ||
+ | :::泡立ちやすいので、ピペッティングはしない | ||
+ | ::*分離バッファーは多めに作る。(足らない場合、ラン開始時にエラーが出る) | ||
+ | ::(分離バッファ調製量の目安) | ||
+ | :::{| class='wikitable' | ||
+ | |合計分析数||8分析以下||9-29分析||30-79分析||80-120分析 | ||
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+ | |分離バッファーの量 (µl)||495||990||1980||2970 | ||
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+ | |希釈色素液の量 (µl)||5||10||20||30 | ||
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+ | *調製した試薬は、MultiNA装置の蓋を開けて所定の位置に設置する。 | ||
+ | ::*分離バッファーとマーカーは、ラベルの色と装置内の置き場所の色が同じ(DNA-500の場合、水色)。 | ||
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:3. 自分のサンプルをセットする。サンプルは5µl以上必要で、そのうち1µlが使用される。 | :3. 自分のサンプルをセットする。サンプルは5µl以上必要で、そのうち1µlが使用される。 | ||
− | :4. | + | :4. サンプルを固定するための金属の網をかぶせる。 |
− | :5. | + | :5. MultiNA装置の蓋をする。 |
− | :6 | + | :6. 制御用ソフトでランを開始する(▶をクリック)。泳動終了後に自動で洗浄を2回行うようにしておく。 |
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::*分離バッファー等の量が足らない場合、ラン開始してしばらく後にエラーが出る。その場合、補充したうえで再度ランを開始する | ::*分離バッファー等の量が足らない場合、ラン開始してしばらく後にエラーが出る。その場合、補充したうえで再度ランを開始する | ||
− | + | == (5) 後片付け == | |
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* 一日の最後に全チップクリーニングを行う。チップクリーニングを行ったまま帰宅してよい(翌日に片付ける)。 | * 一日の最後に全チップクリーニングを行う。チップクリーニングを行ったまま帰宅してよい(翌日に片付ける)。 | ||
** 装置内にセットしたチューブをすべて回収。装置本体の電源を切る。 | ** 装置内にセットしたチューブをすべて回収。装置本体の電源を切る。 | ||
− | * | + | * 分離バッファー、マーカー、ラダーの容器は水洗いして、風乾。 |
− | == | + | == (6) データの解析 == |
データは自動で保存される。「MultiNA Viewer」で解析する | データは自動で保存される。「MultiNA Viewer」で解析する | ||
:*(保存場所) デスクトップのショートカット「MultiNA-Project」内のプロジェクト毎のフォルダ内。登録時の日付が付いたファイルが作られる。 | :*(保存場所) デスクトップのショートカット「MultiNA-Project」内のプロジェクト毎のフォルダ内。登録時の日付が付いたファイルが作られる。 | ||
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− | + | ==※ 補足(各キットとラダーの対応、ストック溶液の作製方法)== | |
− | + | *解析するDNA断片の長さに合わせて、「DNA-500(水色)」「DNA-2500(紫)」「DNA-12000(ピンク)」のうち適切なキットを選ぶ。 | |
− | == | + | ====(1) ラダー==== |
− | 解析するDNA断片の長さに合わせて、「DNA-500(水色)」「DNA-2500(紫)」「DNA- | + | :キットに合わせて下記から選択。(2)で希釈したものを使う(-20℃で保存) |
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{| class='wikitable' | {| class='wikitable' | ||
|MultiNA用試薬||ラダー|| | |MultiNA用試薬||ラダー|| | ||
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|} | |} | ||
− | + | ====(2) ストック溶液の作製==== | |
− | + | * (A) ラダーの希釈 | |
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− | ==(2) | + | |
− | * (A) | + | |
# (DNA-500) pUC19 HpaII Digest (pUC19/MspI(HpaII)) はTEで50倍に希釈する。 | # (DNA-500) pUC19 HpaII Digest (pUC19/MspI(HpaII)) はTEで50倍に希釈する。 | ||
# (DNA-2500) pGEM DNA Markers はTEで100倍に希釈する。 | # (DNA-2500) pGEM DNA Markers はTEで100倍に希釈する。 | ||
# (DNA-12000) 2-Log DNA Ladder はTEで100倍に希釈する。 | # (DNA-12000) 2-Log DNA Ladder はTEで100倍に希釈する。 | ||
− | * (B) 希釈色素液 | + | * (B) 希釈色素液 |
− | # SYBR Gold 1µlとTE 99µlを混ぜ合わせる。 | + | # SYBR Gold 1µlとTE 99µlを混ぜ合わせる。 |
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2021年1月15日 (金) 13:03時点における最新版
[編集] (1) 装置の起動
- 本体の電源を入れる。
- 制御用コンピュータを起動する。MultiNAユーザーでログインして、MultiNA装置制御を起動する。
- 制御ソフトの左上の「MultiNA」の文字が緑色になっていればOK。
- オレンジのときは本体と通信できていないのでメニューの「装置」-「接続」を実行する。
- 洗浄水の量を確認する。足りないときはElix水を補充する。
- 洗浄水が足らないとチップが詰まってしまうので、毎回のラン開始時、あるいは洗浄・クリーニング開始時には、必ずチェックする!
- 廃液が一杯になっていないか、廃液チューブが正しくセットされているかを確認する。廃液はシンクに流す。
[編集] (2) クリーニング
前日に使用していない場合は、全チップクリーニングをする。(※前日に使用している場合は、チップ洗浄を行う(2回:全チップ))
- 「装置」タブ → 「チップクリーニング」 → 「全チップ」
- チップクリーニング液=Cleaning Solution RA (試薬棚)
- チップ4枚、2回洗浄の場合:クリーニング液使用量=2.6ml(容器のラインまで)。所要時間=70分。
[編集] (3) 試薬の解凍
- クリーニングを待っている間に、試薬を実験台の上に出して室温に戻しておく
- 解析するDNA断片の長さに合わせて、「DNA-500(水色)」「DNA-2500(紫)」「DNA-12000(ピンク)」のうち適切なキットを選ぶ。
以下は、500bp以下のDNA断片を解析する際の「DNA-500(水色)」についての説明。
- ストック溶液の作製方法、「DNA-2500(紫)」「DNA-12000(ピンク)」の対応試薬は、末尾の「補足」を参照)
- ラダー:pUC19/MspI(HpaII) ※調整済みの希釈液を使う(-20℃で保存)
- 希釈色素液 SYBR Gold (-20℃で保存)
- DNA マーカー溶液 :DNA-500用(水色)を使用(-20℃で保存)
- DNA 分離バッファ :DNA-500用(水色)を使用 (4℃で保存)
[編集] (4) 測定
- 1. 制御ソフトでサンプルの登録を行う。
- 1) MultiNA画面の「新規登録」をクリック
- 2) 使用するプロジェクト(キット、マーカー溶液の混合方法)を選択しOKをクリック
- 「DNA-500」での解析には、基本的に「DNA-500_On-chip_1901」を使う
- 3) サンプルを配置するウェルをクリック(緑色に変わる)
- 4) ▶▶をクリック
- 5) (各ウェルのサンプル名を入力)
- 6) 登録をクリック
- 2. 分離バッファーとマーカーの必要量が表示されるので、調製して設置する。
[編集] (試薬の調整方法)
- MultiNA装置の下の引き出しにある、試薬調製用のチューブを使う
- ラダー=pUC19/MspI(HpaII) : ラダー用チューブ(200ulチューブ)に、 12µl 分注する
- DNA マーカー溶液 :マーカー用0.5mlチューブに、 表示された量+10µl 分注する
- DNA 分離バッファ :DNA分離バッファには、希釈色素液を100分の1量添加する
- (1)分離バッファ用チューブに、「希釈色素液」を DNA分離バッファの 表示量の100分の1 入れる
- (2)そこへ、DNA分離バッファを 表示量+100µl 入れる。(粘性が高いので注意!)
- (3)チューブの蓋をして、ボルテックスで懸濁する。(泡ができたら、ピペットマンのチップで突いて消す)
- 泡立ちやすいので、ピペッティングはしない
- 分離バッファーは多めに作る。(足らない場合、ラン開始時にエラーが出る)
- (分離バッファ調製量の目安)
合計分析数 8分析以下 9-29分析 30-79分析 80-120分析 分離バッファーの量 (µl) 495 990 1980 2970 希釈色素液の量 (µl) 5 10 20 30
- 調製した試薬は、MultiNA装置の蓋を開けて所定の位置に設置する。
- 分離バッファーとマーカーは、ラベルの色と装置内の置き場所の色が同じ(DNA-500の場合、水色)。
- 3. 自分のサンプルをセットする。サンプルは5µl以上必要で、そのうち1µlが使用される。
- 4. サンプルを固定するための金属の網をかぶせる。
- 5. MultiNA装置の蓋をする。
- 6. 制御用ソフトでランを開始する(▶をクリック)。泳動終了後に自動で洗浄を2回行うようにしておく。
- 分離バッファー等の量が足らない場合、ラン開始してしばらく後にエラーが出る。その場合、補充したうえで再度ランを開始する
[編集] (5) 後片付け
- 一日の最後に全チップクリーニングを行う。チップクリーニングを行ったまま帰宅してよい(翌日に片付ける)。
- 装置内にセットしたチューブをすべて回収。装置本体の電源を切る。
- 分離バッファー、マーカー、ラダーの容器は水洗いして、風乾。
[編集] (6) データの解析
データは自動で保存される。「MultiNA Viewer」で解析する
- (保存場所) デスクトップのショートカット「MultiNA-Project」内のプロジェクト毎のフォルダ内。登録時の日付が付いたファイルが作られる。
[編集] ※ 補足(各キットとラダーの対応、ストック溶液の作製方法)
- 解析するDNA断片の長さに合わせて、「DNA-500(水色)」「DNA-2500(紫)」「DNA-12000(ピンク)」のうち適切なキットを選ぶ。
[編集] (1) ラダー
:キットに合わせて下記から選択。(2)で希釈したものを使う(-20℃で保存)
MultiNA用試薬 | ラダー | |
DNA-500 | pUC19 HpaII Digest (pUC19/MspI(HpaII)) | ※25bp DNA ラダー から変更 |
DNA-2500 | pGEM DNA Markers | |
DNA-12000 | 2-Log DNA Ladder (0.1-10.0 kbp) |
[編集] (2) ストック溶液の作製
- (A) ラダーの希釈
- (DNA-500) pUC19 HpaII Digest (pUC19/MspI(HpaII)) はTEで50倍に希釈する。
- (DNA-2500) pGEM DNA Markers はTEで100倍に希釈する。
- (DNA-12000) 2-Log DNA Ladder はTEで100倍に希釈する。
- (B) 希釈色素液
- SYBR Gold 1µlとTE 99µlを混ぜ合わせる。