トマト葉からのDNA抽出方法
提供: 鈴木研Wiki
(版間での差分)
(ページの作成:「====器具、試薬==== ---- *トマトの葉 *液体窒素 *Plant DNA Isolation Reagent ::Extraction Solution 1 ::Extraction Solution 2 ::Extraction Solution 3 *イソ...」) |
|||
1行: | 1行: | ||
+ | = DNA抽出の原理= | ||
+ | DNAの抽出はDNAが水に溶け、アルコールには溶けない性質を利用するものが多い。 | ||
+ | Plant DNA Isolation Reagent (Takara社)はこの方法を植物からのDNA抽出用に特化している。 | ||
+ | |||
+ | まず植物体を液体窒素で凍結して破砕する。 | ||
+ | この操作により細胞が壊れ、DNAが抽出液に溶けるようになる。 | ||
+ | 液体窒素を使用する理由は主に二つあり、一つは低温に保つことで細胞の中にあるDNA分解酵素の働きを抑えることである。 | ||
+ | もう一つは葉を凍結して固くすることで、乳棒・乳鉢ですり潰しやすくする。 | ||
+ | |||
+ | 植物のサンプルが粉末状になったらExtraction Solution 1(Sol1)を加える。 | ||
+ | Sol1にはpHの緩衝作用があり、DNAが安定に溶解できるようにpHを8ぐらいに保つ。 | ||
+ | またEDTAが含まれており、DNA分解酵素の働きに必要なMg2+ | ||
+ | 適した試薬を調整している。 | ||
+ | |||
====器具、試薬==== | ====器具、試薬==== | ||
---- | ---- |
2016年10月24日 (月) 09:57時点における版
DNA抽出の原理
DNAの抽出はDNAが水に溶け、アルコールには溶けない性質を利用するものが多い。 Plant DNA Isolation Reagent (Takara社)はこの方法を植物からのDNA抽出用に特化している。
まず植物体を液体窒素で凍結して破砕する。 この操作により細胞が壊れ、DNAが抽出液に溶けるようになる。 液体窒素を使用する理由は主に二つあり、一つは低温に保つことで細胞の中にあるDNA分解酵素の働きを抑えることである。 もう一つは葉を凍結して固くすることで、乳棒・乳鉢ですり潰しやすくする。
植物のサンプルが粉末状になったらExtraction Solution 1(Sol1)を加える。 Sol1にはpHの緩衝作用があり、DNAが安定に溶解できるようにpHを8ぐらいに保つ。 またEDTAが含まれており、DNA分解酵素の働きに必要なMg2+ 適した試薬を調整している。
器具、試薬
- トマトの葉
- 液体窒素
- Plant DNA Isolation Reagent
- Extraction Solution 1
- Extraction Solution 2
- Extraction Solution 3
- イソプロパノール
- 70%エタノール
- TE溶液
- ヒートブロック
- 遠心機
実験方法
- 手袋を着用して、実験を行う。
- トマトの葉100mg程を量り、乳鉢に入れる。
液体窒素を入れて、乳棒ですりつぶす。 - Extraction Solution 1 400μlを加えて乳鉢の中でよく混ぜる。
- Extraction Solution 2 80μlを加えて乳鉢の中でよく混ぜる。
- マイクロチューブ(1.5ml)に移す。
- Extraction Solution 3 150μlを加えてよく混ぜる(ボルテックスなど)。
- ヒートブロック(50℃)に15分間置く。
- 15000rpmで15min遠心し、上澄みを別のマイクロチューブにとる。
- 上澄みに同量のイソプロパノールを加え、混合してDNAを沈殿させる。
- 別のマイクロチューブに70%エタノールを1mlとり、DNAを入れる。
- 15000rpmで5min遠心して、エタノールを除き、乾燥させる。
- TE溶液100μlを加えて、4℃で保存する。