トマト葉からのDNA抽出方法
提供: 鈴木研Wiki
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DNA抽出の原理
DNAの抽出はDNAが水に溶け、アルコールには溶けない性質を利用するものが多い。 Plant DNA Isolation Reagent (Takara社)はこの方法を植物からのDNA抽出用に特化している。
まず植物体を液体窒素で凍結して破砕する。 この操作により細胞が壊れ、DNAが抽出液に溶けるようになる。 液体窒素を使用する理由は主に二つあり、一つは低温に保つことで細胞の中にあるDNA分解酵素の働きを抑えることである。 もう一つは葉を凍結して固くすることで、乳棒・乳鉢ですり潰しやすくする。
植物のサンプルが粉末状になったらExtraction Solution 1(Sol1)を加える。 Sol1にはpHの緩衝作用があり、DNAが安定に溶解できるようにpHを8ぐらいに保つ。 またEDTAが含まれており、DNA分解酵素の働きに必要なMg2+ 適した試薬を調整している。
器具、試薬
- トマトの葉
- 液体窒素
- Plant DNA Isolation Reagent
- Extraction Solution 1
- Extraction Solution 2
- Extraction Solution 3
- イソプロパノール
- 70%エタノール
- TE溶液
- ヒートブロック
- 遠心機
実験方法
- 手袋を着用して、実験を行う。
- トマトの葉100mg程を量り、乳鉢に入れる。
液体窒素を入れて、乳棒ですりつぶす。 - Extraction Solution 1 400μlを加えて乳鉢の中でよく混ぜる。
- Extraction Solution 2 80μlを加えて乳鉢の中でよく混ぜる。
- マイクロチューブ(1.5ml)に移す。
- Extraction Solution 3 150μlを加えてよく混ぜる(ボルテックスなど)。
- ヒートブロック(50℃)に15分間置く。
- 15000rpmで15min遠心し、上澄みを別のマイクロチューブにとる。
- 上澄みに同量のイソプロパノールを加え、混合してDNAを沈殿させる。
- 別のマイクロチューブに70%エタノールを1mlとり、DNAを入れる。
- 15000rpmで5min遠心して、エタノールを除き、乾燥させる。
- TE溶液100μlを加えて、4℃で保存する。