MightyAmpを使ったPCR
提供: 鈴木研Wiki
PCRの原理
PCRは特定の塩基配列を持つDNAを増幅することができる方法で、分子生物学の実験においては最も重要な技術である。 PCRには(1)鋳型となるDNA、(2)プライマー、(3)耐熱性DNAポリメラーゼ、の3つが実験を成功させるために重要である。
PCRでは原理的に1サイクルごとにDNA量が2倍になっていく。 このことは10サイクルで約100倍、20サイクルで約100万倍、30サイクルで10億倍にDNAが増幅されることを意味する。 仮に1000bpのDNAを増幅したとすると、たった1分子から30サイクルで?? gになる。
MightyAmpは高い増幅力と、不純物の多いサンプルからでも増幅できることが強みのDNAポリメラーゼである。 その反面、精度はあまり高くないのでクローニングするときには使用しない方がよい。
PCRの実験を行うときには基本的に手袋を着用する。 これはPCRに用いる試薬にDNAが混入すると、予期せぬものが増幅されてしまうことになるのを避けるためである。
試薬
- MightyAmp (Takara)
- MightyAmp DNAポリメラーゼは酵素なので、-20℃で保存し、冷凍庫から取り出すときにはアイスボックスにいれておく。
- PCRに使用する酵素は耐熱性なので熱には強いが、強い攪拌(かくはん)により活性が落ちることがあるので、酵素を入れたあとはボルテックスなどはしない。
- 10 µM プライマーストック
- 合成したオリゴDNAは100µMもしくは50µMの濃度で届くことが多い。そのままでは希釈率が大きくなり扱いにくいので10µM程度に希釈したものをストックとして作っておくのがよい。
- プライマーは特定の鋳型となるDNAとセットで使用することが多い。このとき、あるサンプルのDNAがプライマーに混入すると、それ以後の実験では混入したDNAから増幅されてしまう事故が起きる。購入したオリゴDNAがコンタミすると、買い直す必要が生じる。これを避けるためにも、購入したオリゴDNAを直接実験に用いないほうがよい。
手順
- 0.2mlチューブ、もしくは8連チューブ、もしくは96ウェルプレートに以下のように混ぜ合わせる。
- プライマーは2ついれることを忘れないように。
50 µl | 20 µl | 10 µl | |
---|---|---|---|
DNA | 1 µl | 1 µl | 1 µl| |
10 µM プライマー | 2.5 µl | 1 µl | 0.5 µl| |
MightyAmp | 1 µl | 0.4 µl | 0.2 µl |
2x Buffer | 25 µl | 10 µl | 5 µl |
合計 | 50 µl | 20 µl | 10 µl |
- 蓋をしてサーマルサイクラーにいれる。
- 95℃ 3分(MightyAmpはHot Startなので必須)、98℃ 10秒 65℃ 15秒、68℃ 1分を40サイクルの条件でPCR反応を行う。温度と時間は目的とするものによって変わるので、ノートにきちんと記録すること。