MultiNAを使った電気泳動
提供: 鈴木研Wiki
(1) 装置の起動
- 本体の電源を入れる。
- 制御用コンピュータを起動する。MultiNAユーザーでログインして、MultiNA装置制御を起動する。
- 制御ソフトの左上の「MultiNA」の文字が緑色になっていればOK。
- オレンジのときは本体と通信できていないのでメニューの「装置」-「接続」を実行する。
- 洗浄水の量を確認する。足りないときはElix水を補充する。
- 洗浄水が足らないとチップが詰まってしまうので、毎回のラン開始時、あるいは洗浄・クリーニング開始時には、必ずチェックする!
- 廃液が一杯になっていないか、廃液チューブが正しくセットされているかを確認する。廃液はシンクに流す。
(2) クリーニング
前日に使用していない場合は、全チップクリーニングをする。(※前日に使用している場合は、チップ洗浄を行う(2回:全チップ))
- 「装置」タブ → 「チップクリーニング」 → 「全チップ」
- チップクリーニング液=Cleaning Solution RA (試薬棚)
- チップ4枚、2回洗浄の場合:クリーニング液使用量=2.6ml(容器のラインまで)。所要時間=70分。
(3) 試薬の解凍
- クリーニングを待っている間に、試薬を実験台の上に出して室温に戻しておく
- 解析するDNA断片の長さに合わせて、「DNA-500(水色)」「DNA-2500(紫)」「DNA-12000(ピンク)」のうち適切なキットを選ぶ。
以下は、500bp以下のDNA断片を解析する際の「DNA-500(水色)」についての説明。
- ストック溶液の作製方法、「DNA-2500(紫)」「DNA-12000(ピンク)」の対応試薬は、末尾の「補足」を参照)
- ラダー:pUC19/MspI(HpaII) ※調整済みの希釈液を使う(-20℃で保存)
- 希釈色素液 SYBR Gold (-20℃で保存)
- DNA マーカー溶液 :DNA-500用(水色)を使用(-20℃で保存)
- DNA 分離バッファ :DNA-500用(水色)を使用 (4℃で保存)
(4) 測定
- 1. 制御ソフトでサンプルの登録を行う。
- 1) MultiNA画面の「新規登録」をクリック
- 2) 使用するプロジェクト(キット、マーカー溶液の混合方法)を選択しOKをクリック
- 「DNA-500」での解析には、基本的に「DNA-500_On-chip_1901」を使う
- 3) サンプルを配置するウェルをクリック(緑色に変わる)
- 4) ▶▶をクリック
- 5) (各ウェルのサンプル名を入力)
- 6) 登録をクリック
- 2. 分離バッファーとマーカーの必要量が表示されるので、調製して設置する。
(試薬の調整方法)
- MultiNA装置の下の引き出しにある、試薬調製用のチューブを使う
- ラダー=pUC19/MspI(HpaII) : ラダー用チューブ(200ulチューブ)に、 12µl 分注する
- DNA マーカー溶液 :マーカー用0.5mlチューブに、 表示された量+10µl 分注する
- DNA 分離バッファ :DNA分離バッファには、希釈色素液を100分の1量添加する
- (1)分離バッファ用チューブに、「希釈色素液」を DNA分離バッファの 表示量の100分の1 入れる
- (2)そこへ、DNA分離バッファを 表示量+100µl 入れる。(粘性が高いので注意!)
- (3)チューブの蓋をして、ボルテックスで懸濁する。(泡ができたら、ピペットマンのチップで突いて消す)
- 泡立ちやすいので、ピペッティングはしない
- 分離バッファーは多めに作る。(足らない場合、ラン開始時にエラーが出る)
- (分離バッファ調製量の目安)
合計分析数 8分析以下 9-29分析 30-79分析 80-120分析 分離バッファーの量 (µl) 495 990 1980 2970 希釈色素液の量 (µl) 5 10 20 30
- 調製した試薬は、MultiNA装置の蓋を開けて所定の位置に設置する。
- 分離バッファーとマーカーは、ラベルの色と装置内の置き場所の色が同じ(DNA-500の場合、水色)。
- 3. 自分のサンプルをセットする。サンプルは5µl以上必要で、そのうち1µlが使用される。
- 4. サンプルを固定するための金属の網をかぶせる。
- 5. MultiNA装置の蓋をする。
- 6. 制御用ソフトでランを開始する(▶をクリック)。泳動終了後に自動で洗浄を2回行うようにしておく。
- 分離バッファー等の量が足らない場合、ラン開始してしばらく後にエラーが出る。その場合、補充したうえで再度ランを開始する
(5) 後片付け
- 一日の最後に全チップクリーニングを行う。チップクリーニングを行ったまま帰宅してよい(翌日に片付ける)。
- 装置内にセットしたチューブをすべて回収。装置本体の電源を切る。
- 分離バッファー、マーカー、ラダーの容器は水洗いして、風乾。
(6) データの解析
データは自動で保存される。「MultiNA Viewer」で解析する
- (保存場所) デスクトップのショートカット「MultiNA-Project」内のプロジェクト毎のフォルダ内。登録時の日付が付いたファイルが作られる。
※ 補足(各キットとラダーの対応、ストック溶液の作製方法)
- 解析するDNA断片の長さに合わせて、「DNA-500(水色)」「DNA-2500(紫)」「DNA-12000(ピンク)」のうち適切なキットを選ぶ。
(1) ラダー
:キットに合わせて下記から選択。(2)で希釈したものを使う(-20℃で保存)
MultiNA用試薬 | ラダー | |
DNA-500 | pUC19 HpaII Digest (pUC19/MspI(HpaII)) | ※25bp DNA ラダー から変更 |
DNA-2500 | pGEM DNA Markers | |
DNA-12000 | 2-Log DNA Ladder (0.1-10.0 kbp) |
(2) ストック溶液の作製
- (A) ラダーの希釈
- (DNA-500) pUC19 HpaII Digest (pUC19/MspI(HpaII)) はTEで50倍に希釈する。
- (DNA-2500) pGEM DNA Markers はTEで100倍に希釈する。
- (DNA-12000) 2-Log DNA Ladder はTEで100倍に希釈する。
- (B) 希釈色素液
- SYBR Gold 1µlとTE 99µlを混ぜ合わせる。