ゲノム編集した植物のシークエンスの解析

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([4] 変異型アリルの同定(ゲノム編集した植物のシークエンス解析))
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==[4] 変異型アリルの同定(ゲノム編集した植物のシークエンス解析)==
 
==[4] 変異型アリルの同定(ゲノム編集した植物のシークエンス解析)==
 
'''(1) キャピラリーシークエンスを行う'''
 
'''(1) キャピラリーシークエンスを行う'''
* [3]で用いたPCR産物(制限酵素処理"前"のもの)を用いて、シークエンス解析を行う
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:* [3]で用いたPCR産物(制限酵素処理"前"のもの)を用いて、シークエンス解析を行う
* キャピラリーシークエンスの方法は、「[[BigDye Terminaterを使ったシークエンス]]」を参照
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:* キャピラリーシークエンスの方法は、「[[BigDye Terminaterを使ったシークエンス]]」を参照
::* シークエンス反応時に使うプライマーは、[3]のPCRで使用した両側のプライマー
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:::* シークエンス反応時に使うプライマーは、[3]のPCRで使用した両側のプライマー
::::=PCR産物1個につき、シークエンスは2サンプル、となる (両側のプライマー=センス、アンチセンスの2種類で読むため
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:::::=PCR産物1個につき、シークエンスは2サンプル、となる (両側のプライマー=センス、アンチセンスの2種類で読むため
::* 1反応 (計10ul) あたりに、PCR産物を "1ul" 使用する 
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:::* 1反応 (計10ul) あたりに、PCR産物を "1ul" 使用する 
:::(プライマーダイマーがある場合は、精製・定量したうえで、プロトコール通りの量を使用 (精製方法:[[NucleoSpin Gel and PCR Clean-upを使ったDNA精製]]) <BR><BR>
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::::(プライマーダイマーがある場合は、精製・定量したうえで、プロトコール通りの量を使用 (精製方法:[[NucleoSpin Gel and PCR Clean-upを使ったDNA精製]])
  
 
'''(2) 解析に使うデータ(ファイル)を準備する'''
 
'''(2) 解析に使うデータ(ファイル)を準備する'''
* キャピラリーシークエンサーで読んだ波形ファイル(拡張子.ab1) ※上記(1)で得られたデータ
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:* キャピラリーシークエンサーで読んだ波形ファイル(拡張子.ab1) ※上記(1)で得られたデータ
* ゲノム編集した「遺伝子のもとの配列」の情報(sgRNA配列の位置がわかるもの) <BR><BR>
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:* ゲノム編集した「遺伝子のもとの配列」の情報(sgRNA配列の位置がわかるもの)
 
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'''(3) シークエンスデータを解読して配列を決定し、アリルを同定する'''
 
'''(3) シークエンスデータを解読して配列を決定し、アリルを同定する'''
* シークエンスデータの解読方法については、「[[]]」を参照
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:* シークエンスデータの解読方法については、「[[]]」を参照
 
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[[ゲノム編集した植物のシークエンスの解析:シーケンスアセンブリソフトウェア「ATGC」を使う場合]]
 
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2021年11月10日 (水) 13:53時点における版

(注意:編集中!) CRISPR-Cas9でゲノム編集した植物のシークエンスを解析し、変異を同定する方法についての解説。

目次

[1](概要)ゲノム編集で変異体を作成する手順:pKIベクターを用いた場合

(※ ガイドRNAの設計方法については、別記参照)

PKIベクターでのゲノム編集概要.png

アグロバクテリウムの感染後、シークエンス解析に至るまでの流れ (概要説明)
1) 形質転換されたT1植物を選抜し、生育する
  • pKIベクターを用いた場合、T1種子の中から「OLE-tagRFPが光る」ものを播いて育てる (=T-DNAが組み込まれている)
2) 目的の遺伝子がゲノム編集されている個体を選抜・生育し、T2種子をとる
  • genotyping:PCR+制限酵素処理で、変異遺伝子を持つ個体を選抜 (制限酵素処理で、切れる:野生型(WT型)、切れない:変異型)
3) T2世代で、Cas9を持たない植物を選抜する
  • pKIベクターを用いた場合、T2種子の中から「OLE-tagRFPが光らない」ものを播いて育てる (=T-DNA、Cas9を持たない)
4) T2世代で、目的の遺伝子がゲノム編集されている個体を選抜する
  • 2) と同様のgenotypingを実施
5) キャピラリーシークエンサーでの解析
  • 4) のgenotypingの時のPCR産物(制限酵素処理する前のもの)を、キャピラリーシークエンサーで解析する
  • PCRに用いた両端のプライマー各々で解析したファイルを作成。このファイルを用いて以降の解析を行う

[2] ゲノム編集によってできる変異型のアリルについて

  • CRISPR-Cas9によるゲノム編集では、PAM配列(NGG)の3塩基手前が切断される
  • その切断個所を修復する際に、「挿入・欠失 (indel)」が生じて、フレームシフト等の変異型アリルができる
  • 以下は、ゲノム編集での変異アリルの例
ゲノム編集での変異アリルの例.png
  • 挿入・欠失 (indel) は上記の例のように、数bpの場合もあれば、数十bp~100bp以上の場合もある

[3] 変異型アリルの検出(遺伝子型の同定:genotyping)

  • ゲノム変種による変異の有無を検出できるように、制限酵素サイトの近傍にsgRNAを設計する (変異が生じると制限酵素サイトが無くなる)
  • sgRNAの配列と検出に用いた制限酵素の例、については上記[2]の図を参照
  • この例では、383bpのPCR産物をHaeIII処理すると、以下の長さの断片になる
・(野生型)制限酵素(HaeIII)で切れる  -> 272bp, 111bp の2本の断片
・(変異型)制限酵素(HaeIII)で切れない -> 約383bp の断片

[4] 変異型アリルの同定(ゲノム編集した植物のシークエンス解析)

(1) キャピラリーシークエンスを行う

  • シークエンス反応時に使うプライマーは、[3]のPCRで使用した両側のプライマー
=PCR産物1個につき、シークエンスは2サンプル、となる (両側のプライマー=センス、アンチセンスの2種類で読むため
  • 1反応 (計10ul) あたりに、PCR産物を "1ul" 使用する 
(プライマーダイマーがある場合は、精製・定量したうえで、プロトコール通りの量を使用 (精製方法:NucleoSpin Gel and PCR Clean-upを使ったDNA精製

(2) 解析に使うデータ(ファイル)を準備する

  • キャピラリーシークエンサーで読んだ波形ファイル(拡張子.ab1) ※上記(1)で得られたデータ
  • ゲノム編集した「遺伝子のもとの配列」の情報(sgRNA配列の位置がわかるもの)

(3) シークエンスデータを解読して配列を決定し、アリルを同定する

  • シークエンスデータの解読方法については、「[[]]」を参照

ゲノム編集した植物のシークエンスの解析:シーケンスアセンブリソフトウェア「ATGC」を使う場合

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