シロイヌナズナのゲノム編集について:概要、変異アリルの検出・同定
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細 (→[2] ゲノム編集によってできる変異型のアリルについて) |
細 (→[3] 変異型アリルの検出(遺伝子型の同定:genotyping)) |
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==[3] 変異型アリルの検出(遺伝子型の同定:genotyping)== | ==[3] 変異型アリルの検出(遺伝子型の同定:genotyping)== | ||
<table><tr><td> | <table><tr><td> | ||
− | * | + | * ゲノム変種による変異の有無を検出できるように、制限酵素サイトの近傍にsgRNAを設計する |
+ | ::::※ 変異が生じると制限酵素サイトが無くなるので、「制限酵素で切れる」「切れない」の違いで、変異体の判別が可能になる | ||
:* sgRNAの配列と検出に用いた制限酵素の例、については上記[2]の図を参照 | :* sgRNAの配列と検出に用いた制限酵素の例、については上記[2]の図を参照 | ||
− | :* | + | :* この例では、383bpのPCR産物をHaeIII処理すると、以下の長さの断片になる (右図の電気泳動パターンを参照) |
::・(野生型)制限酵素(HaeIII)で切れる -> 272bp, 111bp の2本の断片 | ::・(野生型)制限酵素(HaeIII)で切れる -> 272bp, 111bp の2本の断片 | ||
::・(変異型)制限酵素(HaeIII)で切れない -> 約383bp の断片 | ::・(変異型)制限酵素(HaeIII)で切れない -> 約383bp の断片 | ||
− | ::::※ | + | ::::※ この場合、変異体A=ホモの変異体、変異体B=長さの異なる2種類の変異型アリルをもつ(Bi-allelic) |
* 遺伝子型の同定を行う際の「DNA抽出、PCR、制限酵素処理」の手順については、「[[シロイヌナズナの遺伝子型の判定]]」を参照 | * 遺伝子型の同定を行う際の「DNA抽出、PCR、制限酵素処理」の手順については、「[[シロイヌナズナの遺伝子型の判定]]」を参照 | ||
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2021年11月11日 (木) 10:32時点における版
[1](概要)ゲノム編集で変異体を作成する手順:pKIベクターを用いた場合
- 以下の説明は、pKIベクターの解説サイトの図に一部加筆したもの https://www.jst.go.jp/pr/announce/20161117-2/index.html
- (※ ガイドRNAの設計方法については、別記参照)
[2] ゲノム編集によってできる変異型のアリルについて
- CRISPR-Cas9によるゲノム編集では、PAM配列(NGG)の3塩基手前が切断される
- その切断個所を修復する際に、「挿入・欠失 (indel)」が生じて、フレームシフト等の変異型アリルができる
[3] 変異型アリルの検出(遺伝子型の同定:genotyping)
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[4] 変異型アリルの同定(ゲノム編集した植物のシークエンス解析)
(1) キャピラリーシークエンスを行う
- [3]で用いたPCR産物(制限酵素処理"前"のもの)を用いて、シークエンス解析を行う
- キャピラリーシークエンスの方法は、「BigDye Terminaterを使ったシークエンス」を参照
- シークエンス反応時に使うプライマーは、[3]のPCRで使用した両側のプライマー
- =PCR産物1個につき、シークエンスは2サンプル、となる (両側のプライマー=センス、アンチセンスの2種類で読むため
- 1反応 (計10ul) あたりに、PCR産物を "1ul" 使用する
- (プライマーダイマーがある場合は、精製・定量したうえで、プロトコール通りの量を使用 (精製方法:NucleoSpin Gel and PCR Clean-upを使ったDNA精製)
(2) 解析に使うデータ(ファイル)を準備する
- キャピラリーシークエンサーで読んだ波形ファイル(拡張子.ab1) ※上記(1)で得られたデータ
- ゲノム編集した「遺伝子のもとの配列」の情報(sgRNA配列の位置がわかるもの)
(3) シークエンスデータを解読して配列を決定し、アリルを同定する
- シークエンスデータの解読方法については、別記「ゲノム編集した植物のシークエンスの解析」を参照