シロイヌナズナのゲノム編集について:概要、変異アリルの検出・同定

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[1](概要)ゲノム編集で変異体を作成する手順:pKIベクターを用いた場合

(※ ガイドRNAの設計方法については、別記参照)

PKIベクターでのゲノム編集概要 size2.png

[2] ゲノム編集によってできる変異型のアリルについて

  • CRISPR-Cas9によるゲノム編集では、PAM配列(NGG)の3塩基手前が切断される
  • その切断個所を修復する際に、「挿入・欠失 (indel)」が生じて、フレームシフト等の変異型アリルができる
  • 以下は、ゲノム編集での変異アリルの例
ゲノム編集での変異アリルの例.png
  • 挿入・欠失 (indel) は上記の例のように、数bpの場合もあれば、数十bp~100bp以上の場合もある

[3] 変異型アリルの検出(遺伝子型の同定:genotyping)

  • ゲノム変種による変異の有無を検出できるように、制限酵素サイトの近傍にsgRNAを設計する (変異が生じると制限酵素サイトが無くなる)
  • sgRNAの配列と検出に用いた制限酵素の例、については上記[2]の図を参照
  • この例では、383bpのPCR産物をHaeIII処理すると、以下の長さの断片になる
・(野生型)制限酵素(HaeIII)で切れる  -> 272bp, 111bp の2本の断片
・(変異型)制限酵素(HaeIII)で切れない -> 約383bp の断片
※ 右図の電気泳動パターンでは、変異体A:ホモの変異体、変異体B:長さの異なる2種類の変異型アリルをもつ(Bi-allelic)

ゲノム編集genotyping.png

[4] 変異型アリルの同定(ゲノム編集した植物のシークエンス解析)

(1) キャピラリーシークエンスを行う

  • シークエンス反応時に使うプライマーは、[3]のPCRで使用した両側のプライマー
=PCR産物1個につき、シークエンスは2サンプル、となる (両側のプライマー=センス、アンチセンスの2種類で読むため
  • 1反応 (計10ul) あたりに、PCR産物を "1ul" 使用する 
(プライマーダイマーがある場合は、精製・定量したうえで、プロトコール通りの量を使用 (精製方法:NucleoSpin Gel and PCR Clean-upを使ったDNA精製

(2) 解析に使うデータ(ファイル)を準備する

  • キャピラリーシークエンサーで読んだ波形ファイル(拡張子.ab1) ※上記(1)で得られたデータ
  • ゲノム編集した「遺伝子のもとの配列」の情報(sgRNA配列の位置がわかるもの)

(3) シークエンスデータを解読して配列を決定し、アリルを同定する



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